「New Education Expo 2014」のタイムテーブルから見えてくる教育業界3つのトレンド

日本最大級の教育関係者向けイベント「New Education Expo 2014」の東京会場は開催まであと2日と迫ってきた。19回目となる今回のExpoでは、どのような傾向が見られるだろうか?セミナーのタイムテーブルを眺めていると、今の教育業界でホットな「3つのトレンド」が見えてきた。

3つのトレンドとは、ずばり「21世紀型スキル」「ICT導入」「データの活用」だ。それぞれ、関連するセミナーと共に紹介していこう。

21世紀型スキル ― 緊急の課題

21世紀型スキルを扱うセミナーには以下のようなものがある。

T39「21世紀型スキル育成のための授業デザインワークショップ」
T52「実践例から考える21世紀型スキル授業でどう取り組むか」
T30「東京大学発初等中等教育の授業改善支援21世紀型スキルを育成する学び」

「21世紀型スキルが必要だ」という点については、文部科学省も以下のようにのべている。

21世紀の知識基盤社会で求められる能力(21世紀型スキル)としては、情報創造力(こと創り)のほかに、批判的思考力、問題解決力、コミュニケーション力、プロジェクト力、ICT活用力等がある。このような21世紀型スキルは、これまでの「ものづくり」対応型の教育では身につかない。「もの(物)」はまねて造ってもそれなりの価値があるが、「こと(知識)」はまねてつくっても価値は生じない。

知識基盤社会は、新しく知識を創出し続けることに大きな意味を持つ社会である。工業社会型(「ものづくり」重視型)教育から知識創出型(「こと創り」重視型)教育へパラダイムシフトし、21世紀型スキルの育成を目標とする学校教育の実現-教育課程、教育環境、教員養成、支援体制等の見直し-が緊急の課題である。

引用元:学校教育の情報化に関する懇談会 これまでの主な意見(第1回~第6回)

このように、国としても「緊急の課題」としている21世紀型スキルだが、実際にそれを生徒に身につけさせるためにはどのような授業構成にすべきなのか?

先生自身、そのような授業を受けてきたわけではないのだから、具体的な作法については手探り状態であるケースが多いはずだ。そのような状況下で、21世紀型スキル育成に以前より取り組んでいる先生方のセミナーは大きな意味を持ってくるだろう。

ICT導入 ― 導入して何をするのか

今年の New Education Expo では、「ICT」に関連するセミナーが最も多い。ICTへの注目度の高さが伺える。多数あるなかで一部のセミナーを抜き出してみうと、以下のようなものがある。

T37「普通教室でのICT活用(中学校)~電子黒板、デジタル教科書、タブレット端末の活用~」
T51「徹底討論:タブレット端末導入ケース別活用の実際と課題~学校独自購入、町ぐるみの展開、全校生徒一人1台、個人所有で何がどうちがうのか~」
T47「【地域発のICT活用】やまなしICT利活用研究会 地域で学ぶ、世界で学ぶ ~その時、ICTをどう使う~」

これを見ても分かるように、ICT導入の中でも今注目を集めているのは、iPad や Surface といったタブレット端末だ。今まではできなかったけれどタブレット端末によってできるようになることは山ほどある。

例えば、教室外・学校外へも持ち出すことができたり、直感的な操作で写真や動画を撮ることができたり、家に帰ってからも先生や友達とオンラインでつながることもできる

しかし、実際の授業内ではどのように活用していくのはハードルでもあるだろう。初期のiPadがリリースされたのは4年前の2010年。つまり、新卒の先生でもタブレット端末を活用した授業を受けたことはないということになる。

タブレット端末を活用して実際にどのような授業ができるのか?
生徒一人ひとりがタブレット端末を持つようになったとき気をつけるべきことは?

このような疑問を持つ先生方も多いのではないだろうか。今回の Expo では、フューチャースクール認定校など数年前からタブレット導入を進めている学校の関係者の方々のセミナーが数多くあり、今後のICT導入の拡大に向けた大事なステップとなりそうだ。

データの活用 ― データによる改善が教育の現場にも

2012年は「ビッグデータ元年」と呼ばれていたが、そのトレンドが教育業界へも流れ込もうとしているようだ。

T26「学力調査データを活用した学校経営改善・授業改善の取り組み」
T21「地方公共団体における「オープンデータ」推進について」
T07「1万人以上のビッグデータで見る大学改革の今後~グローバル人材要件とアクティブラーニング~」

個人的には、学力調査データを用いた授業改善には大きな可能性を感じている。というのも、全国の学校をあわせると毎年数100万人もの莫大のデータがあり、それらを活用すればかなり精度の高い分析が可能だと考えられるからだ。

実際に、T26のセミナーでは、京都市教育委員会の清水康一氏と姫路市教育委員会の沖端康弘氏が、それぞれの管轄するエリア内で行っている学力調査や帳票のデータ分析の取り組みについて発表する予定だ。

データの相関分析や重回帰分析というと難しく感じてしまいがちだが、実際には、学校のパソコンにほぼ標準搭載されているであろう Excel を活用することで簡単にできてしまう。また、今後、iPadアプリなどでデータ分析をさらに簡単にしてくれるようなアプリも出てくるだろう。このように、「データによる改善」は今後もっと多くの人にとって身近なものになっていくと考えられる。

先生一人ひとりがデータを授業の改善に役立てるということも、決してありえない話ではないだろう。

最後に

6/5〜7に開催される「New Education Expo 2014(東京会場)」。

タイムテーブルを見ただけでも興味深いテーマが盛りだくさんで、どのようなお話が聞けるのかとつい想像が膨らんでしまった。スピーカーの方々の発表が今から待ち遠しい。また、会場に集まるであろう先生方、教育関係者の方々との出会いもまた、大きな楽しみの1つである。

吉田基紀 @show_motto

この記事を書いた人:
  • 最近の投稿

  • カテゴリー

  • アーカイブ

  • おすすめの記事

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>