【インタビュー】iPad導入は「子どもたちと一緒に創っている」―外丸隆央先生(広尾学園)

偏差値30台の女子校、入学生徒数は伸び悩む…。2007年、そのような状況を打開すべく、学園全体で「抜本的な改革」に乗り出し、見事に名門校と呼ばれるまでになったのが「広尾学園」だ。男女共学化、新たなコース戦略やカリキュラムの策定など、様々な改革を行ってきたが、そのうちの1つに「ICTの導入」があった。今回は、広尾学園キャリア教育チームでICT係も兼任されている外丸隆央先生に、ICT導入当初の様子や、ICTの活用方法、子どもたちへの想いについて伺ってまいりました。

以下、外丸先生のお言葉をまとめました。

iPad導入は「子どもたちと一緒に創っている」感覚

広尾学園では、2010年度にiPadの試験導入がはじまり、2011年度には150台のiPadを導入、2012年度からは中学新入生全員にiPadを購入してもらうようにしています。そのため、2014年度の今年は、本学園の「中学生全員が自分のiPadを持っている」という状況になりました。

「導入開始時に不安はありませんでしたか?」という質問を受けることもあるのですが、不安は特にありませんでした。というのも、本当に子どもたちは覚えるのが早いんですよね。ケータイ電話1つとっても、すぐに教員より詳しくなったりするわけです。なんでも自分たちより早く覚える。そういう世代の子たちである以上、大人が自分たちの思い込みで線引きをしてはいけないのです。

結局、渡してみてどう使うか。そこでうまくいかなければ、腹をくくって失敗だって思うしかないですし、むしろ、どうやったらこどもだちが使うだろうかと考えるのが、教師の仕事ではないでしょうか。なので、「与える・与えない」の心配は特になかったですね。まずは与えてみよう、そこで子どもたちが何を生み出すか、ということです。

子どもたちは、全然自分たちが予想しない答えとかもどんどん生み出していますから。それを受けて、自分たち教師もどんどん道をまた新しく作っていくのです。「あ、そっち行くんだ!」みたいな。「あ、でもそれ面白いね!」と。またそこで自分たちが先をよんで道をつくっていて、それでも結局その先を飛び越えたものを子どもたちは作っていくんですよね。一緒に創っている感じがして、本当にワクワクしました。

「授業のうまい先生」の2つのタイプとICTの活用法

「授業のうまい先生」というのは、大きく2つのタイプに分けられると思っています。1つ目は「その教科の教え方がうまい先生」で、もう一方は「子どもの把握の仕方がうまい先生」です。この後者を目指すにあたり、ICTを利用していくことはすごくアリなのではないしょうか。つまり、「授業のフォロー」だけでなく「生徒を把握するというフォロー」を、ICTによって効率的にしていくわけです。

教室内で子どもたちみんなの考えを見て回ろうとしても、それだけでかなり時間がかかってしまいますよね。それが、ednityGoogle Site のようなICTをうまく活用すると、一瞬でできてしまうわけです。授業内であれば PingPong などもいいですよね。「把握する」という言葉には語弊があるかもしれませんが、何を言いたいかというと、生徒のことをもっと理解してあげたいのです。そして、そこにICTは活きてくるということです。

「ニセモノ」じゃない人になってほしい

ただ、インターネットで検索しただけで分かった気になってしまうような「ニセモノ」にはなってほしくないですね。今の時代、タブレットやスマートフォンで調べれば、なんでも情報はすぐに出てきますが、その情報を鵜呑みにしてはしてほしくはないのです。直近の話題でいえば、小保方さんと理研についての話をしている生徒たちがいて、その子たちに「本当にわかってるの?」、「分かった気になっていない?」と問いかけました。薄っぺらい表面的な情報だけで判断するような「ニセモノ」には、なってほしくなかったのです。

言い換えれば、「ホンモノ」の知識を身につけてほしいと思っています。自分の経験をもとにした知識を判断軸にして、自らの道を切り開いていってほしいのです。ただ、そのような思考の習慣は、一朝一夕にしてできるようになるものではありません。だから、教員が寄りそって、長期的な視点で、まずは使わせてみることが大事だと思っています。情報自体は溢れかえっていて、そこだけでいえば教員はもう必要ないんじゃないかというほどですが、どのように取捨選択したり吟味するのかというところこそ重要で、そこは私たち教員がしっかりと見てあげるべきところなのでしょう。

10年後にある職業ってどのようなものだろう?

最後になりますが、今、子どもたちに面白い課題を出してみています。「10年後にある職業についてプレゼンする」というものです。今はない職業の場合もありますし、既存の職業の場合には、それが10年後どのようになっているのか考えてもらっています。たとえば、10年後に「医師」という仕事はどうなっているのでしょうか。もしかしたら、簡単な手術はプログラムを組んでボタン1つで実行されてしまうかもしれません。そのようなことを、子どもたちにも考えてもらっています。

時代はこれまでにないスピードで変化しています。その中で、このような問いについて考えることが、「これからどういう世界になっていくのか」を考えるキッカケとなってくれればと思っております。そして、「ホンモノ」の知識を身につけていってくれれば、本望です。

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