SAMRモデルとは?学校現場へのICT導入の指針となる注目のフレームワーク

「SAMRモデル」というフレームワークをご存知だろうか?
SAMRモデルとは、学校の教室へのテクノロジー導入を4つのレベルに分類したフレームワークである。「代替」「拡大」「変更」「再定義」という4つのレベル分けは、ICT導入について客観視し改善を行う上で役立つものであり、授業づくりの改善につながるかもしれない。以下では、この4つの分類について、詳しくみていこう。

代替(Substitution)

これが第一のステップである。この段階では、ペンや紙を使ってできたことを単にテクノロジーを使って代替するだけにとどまる。分かりやすい例をあげれば、手書きをする代わりに、Wordでタイピングするといったものだ。

拡大(Augmentation)

この段階では、学習を現状よりも効率よくするために、テクノロジーが使われるようになる。ここでは、テクノロジーは割り当てられたタスクにたいして何らかの価値を追加するようになるが、そのやり方が根本から変わるわけではない。たとえば、スペルチェッカーや文法チェッカー、電子辞書などがここに当てはまる。小さいけれども分かりやすい変化といえるだろう。

なお、ここまでの「代替」と「拡大」の2つの段階を、「強化(Enhancement)」とよぶ。一般に、テクノロジーの導入が「強化」にとどまっているうちは、その真価を発揮できていないと言われている。あくまでも既存の方法が元になっており、根本からの見直しができていないからだ。今まで「アナログだったがために制限されていた」と言える手法は、目に見えていないものも含め、数多くあるはずだ。そこを考え実践するのが、次の段階である。

変更(Modification)

ここまでくると、テクノロジーはさらに効率よく使われるようになる。別のツールを使って同じタスクをするというのではなく、タスクの新たな部分をリデザインし、生徒たちの学習を転換させるのだ。たとえば、グループ学習でフィードバックを共有し合うために、Google Docs でコメント機能を利用するといったものだ。

再定義(Redefinition)

この段階は、ブルームの分類法(下図参照)においてこのレベルを表すなら、おそらく「統合(Synthesis)」あるいは「評価(Evaluation)」にあたるだろう。すなわち、思考スキルのピラミッドにおける最高レベルというわけだ。ブルーム分類法ここでいう「再定義」とは、生徒たちが、気付かないうちに、テクノロジーを使用し新しい課題を作り出しているような状態のことをいう。分かりやすい例をあげれば、生徒たちが世界中の教室とつながり、そこでお互いにチャットやコメントを利用し、歴史的事実についての認識の違いをディスカッションをするといったケースがあるだろう。ボイスコメントを利用してディスカッションをして、終わったらクラスのウェブサイトにそのコードを埋め込む、といったことも可能だ。

この「変更」と「再定義」のフェーズは「変換(Transformation)」と呼ばれる。前半2つのフェーズが「強化」であったのに対し、こちらは「変換」ということで、学習方法を根本から見直していく。言い換えれば、「テクノロジーが導入されている状態」をベースにして考える、とも言えるだろう。これは、文章でかけば簡単そうに聞こえるが、実際には今までの経験やプライドが邪魔をしてしまうなど、なかなか困難な作業といえる。

「強化」ではなく「変換」ができているか?

学校現場へのテクノロジー導入は、徐々にではあるが確実に広がっている。今年度より、佐賀県や荒川区では、地区全体として一斉にタブレット導入を開始するなど、大きな動きも現れはじめている。しかし、肝心の「どう使うか」という部分にかんしては、ほとんどの自治体や学校で試行錯誤の状態であると見受けられる。

これから数年間、そうした試行錯誤の期間は続くであろう。その中で、これは「強化(代替と拡大)」なのか、それとも「変換(変更と再定義)」なのかと問いかけることは、1つの評価基準となりうるかもしれない。ただICTを導入したというところで終わらず、「ICTの活用によってどのような授業ができるのか」という点を、深く考えていけたらと思う。

ICTはツールに過ぎない。それを用いて、「どのような学習環境をつくり上げるのか」、そこをじっくり考えてこそ、ICTはその真価を発揮するだろう。当メディアとしても、そのような議論のヒントを提供することで、そのような流れを作る一助となれればと思う。

[ 画像引用元: Hippasus ]

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