「学校向けSNS」6サービスを客観的に比較してみた(比較表付き)

こんにちは。Ednityブログに記事を寄稿することになりましたiOSコンソーシアム 野本 竜哉です。

当方はとある大手企業に勤める傍ら、教育におけるITの活用について様々な調査を行い、記事の執筆を行っています。「企業と教育者をつなぐ」をモットーに、現場で日々奮闘されている先生や塾の講師などの『教育現場の方々』と、教育系ソリューションを持つ/もしくはこれから展開したい企業の方々を「つなぐ」ことで新たなイノベーションを産み出したいと考えています。

今回のテーマは「学校向けSNS」

さて、最初の投稿のテーマは「学校向けSNS」についてです。
日本の教室では、先生が一方的に授業を行い、生徒がそれを聞いたりノートに記録をする時間が全体の8割以上を占めると思います。ただ、先生達は本当はもっと生徒の発言、意見交換に時間を割きたいと思っているものの、学習指導要領に基づく授業設計では苦しいケースもあるのではないでしょうか。実は比較的少ないインパクトでこれを実現できるかもしれないのが「学校向けSNS」と私は考えています。

SNSやITツールを使うと、先生の授業と並行して、生徒が「質問」「意見」「議論」を(先生の授業を阻害しない形で)行えるようになります。先生ならば一度は、「今話していることって生徒がどのくらい理解しているのかな…。」、「赤、黄色、青の3段階くらいでいいから理解度を示してくれるランプが全席にあるといいんだけどな…」と考えた事があるはずです。実はこうした事を、学校向けSNSを活用すれば簡単に実現できるのが、今日の状況なのです。

しかし、その利用には様々な障壁があり、まだまだ一般的とは言いがたいと思います。主な障壁は

  1. ツールを使うインフラ(インターネット接続環境、WiFi)がない
  2. ツールを使うデバイス(PC、タブレット、スマホ)がない
  3. ツールを使う環境(他の先生の支持、学校の規則)が充分でない
  4. ツールを使う理解(ツールそのものの不理解、メリットの理解、ITへの理解)がない

の4つに集約できると思います。

学校向けSNS導入の障壁は「学校側の事情」

ただこれらは、厳しい言い方をすれば、学校側の事情です。生徒は日常的にケータイ/スマホ/PCなどで、他の生徒や親同士とオンラインのコミュニケーションを行っています。しかし、学校に入った瞬間にこれらが使えない事に、ストレスを感じているということを、忘れてはいけません。

しかし、ここ数年で、一部の高校や大学に「敢えて生徒の個人ケータイ/スマホを使ってもらう」ことで、こうした学校向けSNSを取り入れる学校が出てきました。こうした学校はどうやって対応しているのでしょうか。まず、課題1,2については時代が解決しつつあります。高校・大学になると多くの生徒がケータイを持っているので、これを「使ってもらう」ことで、おおむね解決します。データ通信料金はほぼ100%が定額制の契約なので、彼らの手持ちのデバイスと通信環境を「借りる」ことができれば、コストをかけずにICTが利用でき、学校向けSNSも利用可能になります。

となると、あとは3と4、つまり学校内での環境整備や理解促進を進められれば、こうしたツールが利用できるわけです。ある程度先進的な学校や先生は、すでにこの3や4に着手し、授業にインタラクティブ要素を取り入れる事に成功しています。ただ、これらは小中学校、特に公立ではまだ難しく、国や自治体が進めるICT環境の整備に期待したいところです。

実際に、学校はどのようなツールを活用しているのか?

次に、上記の1-4をクリアしてSNSやICTツールを使っている学校はどんなツールを活用しているのでしょうか。代表的なツールを6つ紹介しようと思います。

  1. Twitter
  2. Facebook
  3. Clica
  4. PingPong
  5. LINE
  6. ednity

Twitter

twitter
Twitterは、140文字までの短文を投稿するSNSです。「多くの生徒が自分のアカウントを持っている」と言われるほどメジャーで、文字数を少し減らす代わりに写真やホームページへのリンク投稿できます。知っている友達のアカウントを「フォロー」するとその人の投稿内容が時系列に並びます。ただし、投稿内容はインターネットに公開され、世界中から誰でも見られるという特徴もあり、過去に問題も発生しています。そのためフォローしている人以外に投稿を見せない「鍵付き」という設定があります。

メジャーなツールなだけに、多くの学生がプライベートで既に使っているのが利点でもあり難点でもあります。個人の投稿と学校の投稿を混ぜたくない、学校に自分のアカウントを知られたくないという人も多いでしょう。ただ、一人が複数アカウントを持つ事も可能なので、管理がやや面倒にはなりますが、複数アカウントを切り替えながら使うことで対処も可能です。

千葉県の袖ヶ浦高等学校では、学校ではクラス内での議論専用の鍵付きアカウントを作り、全員で意見交換に使っていたこともありました(現在は、twitterからednityへ移行)。

[ 参考:Twitter ]

Facebook

facebook
Facebookは、Twitterのフォローに似た「友達になる」という機能があり、友達同士の投稿が時系列に並ぶようになっています。それぞれの投稿に「コメント」や「いいね!」を付けることができ、スマホ用のアプリもよく作り込まれています。文字数制限もありません。議論や他の人の発言の支持が簡単にできるのが特徴と言えます。

さらに「グループ」機能を使うと、特定のメンバー以外には見えない場所で自由な発言ができます。簡単なアンケートや、比較的容量の大きい添付ファイルや写真をアップして皆で共有できるなど、この中ではトップクラスの機能を誇っています。

ただし生徒一人一人がアカウントを作ることが前提となっており、一人が二つのアカウントを持つ事は(個人利用としては)原則禁止されています。このため学校に自分のアカウントを知られたくないという生徒を呼び込むにはかなりハードルが高いという難点があります。高機能なぶん、使いはじめのころは「どうすればいいか分からない」という声も多いのに加え、最近では若年層の利用率は年々低くなっているために利用するには相応のサポートが必要というのが課題です。

このため、個人アカウントではなく「学校の公式ページ」などで生徒が地域に向けて情報発信を行う、といった個々人に紐づかない形での活用事例が多いようです。

[ 参考:Facebook ]

Clica

Clica
Clica は、ブラウザの特定URLにアクセスすればすぐに使えるツールです。アプリのダウンロードは不要で、利用開始のハードルが低いのが魅力です。先生が2〜5択の質問をしてそれにリアルタイムで答えてもらう「ポール」機能(1を選んだ人が◯◯人、2は△△人、のように視覚的に生徒の回答状況が分かる)と、時系列にそって文字を投稿する二つの機能だけが提供されています。

シンプル/簡単な事もあり、既に多くの高校や大学で導入/利用されています。生徒側はアカウント登録が不要なのもポイントで、匿名で利用が可能というのが大きな特徴。匿名故にタイムラインの投稿がけっこう盛り上がります。一方で、匿名ゆえに「誰の発言か先生には分からない」という問題点もありますが、素直な生徒の考えを知りたい時にはかなり役立ちます。

[ 参考:Clica ]

PingPong

Pingpong
PingPongは、「リアルタイムアンサー」に特化したツール。Clicaに比較的近いツールともいえます。Webブラウザでもつかえますが、Android/iOSの専用アプリもあり、スマホで非常に使いやすいのが特徴。選択式、◯×、記述、描写(お絵描き)の4種類の問題を先生が出題し、生徒はそれに回答するという「Q&A」に特化しています。

結果はすぐに先生のところに集約され、4択や◯×問題は円グラフでどの選択肢を選んだ人が何割くらいかが一目で分かるため、この部分はClicaよりも優れています。ただ、一度回答を送信すると内容の訂正が行えません。また、Clicaの「タイムライン」のような機能がなく、自由に感想や意見を時系列にそって発言してもらうという用途には向きません。あくまで1人が1回の回答権だけを持っているため、クイズ的に授業を盛り上げるツールとしては使えます。

[ 参考:PingPong ]

LINE

LINE
LINEは、この中では(とくに生徒の中で)知名度/利用頻度ともに最高と言えるツールでしょう。殆どの人のスマホにアプリとして導入されており、生徒への説明が不要で即、使い始められるのがメリットです。Twitterと異なり、ネット上に投稿内容が「公開」されず、基本がクローズド。画像や動画を付けて投稿することもできますし、表示も時系列に沿っているのでとても分かりやすい。

一方、デメリットとして、1台のスマホには複数のアカウントの登録ができない仕組みになっています。このため、同じデバイスで学校用と個人用のアカウントを分けることができず、利用には学校に必ず自身のアカウントを知らせるか、別の機器を用意しないといけないのが惜しいところです。ただ、筆者はとある大学で講演した際、予告無しで自身にLINEで意見や質問の答えを送って下さいとお願いしたところ、全体の半数くらいから反応がありました。それくらい、準備なしでもある程度使えてしまうのは、魅力ではあります。

[ 参考:LINE ]

ednity

ednity
で、最後がこのブログを提供している「ednity」なのですが、教室向けSNSと言われるだけあって、これらのサービスと比べるとかなり便利な部分が多いです。TwitterとFacebookの良い所を兼ね備え、情報はインターネット上に公開もされず、教室内でクローズドに使いやすくなっています。

現時点でアプリがないのが残念ですが、文字数制限はなし、画像やURL、添付ファイルも自由に張れます。コメントやいいね!が使える点もFacebookに近い。生徒個々に専用のアカウントを作成するので、他のサービスとは完全に「切り離し」、学校でのやり取り専用として使えるという点が最大のメリットです。

難点は事前にアカウントを準備しないといけないこと。特定URLにアクセスしたら直ぐに使える機能が用意されると、利用のハードルが一気にさがるのでそこは期待したい所です。

[ 参考:ednity ]

上記6サービスを表にすると

上記の特徴をざっくりと表でまとめると以下のようになります。

学校向けSNS比較
クリックすると大きなサイズの表をご覧いただけます。

Clica、PingPong、ednityは最初から教育向けの利用を前提に作られているので、教室との相性は非常に良いですが、少しずつ目的が異なっていることも分かります。

ednity についてはスマホアプリが無いのと、アカウント登録がなくても一部機能が利用出来るオプションができれば、他のツールと比較した時にほぼデメリットが無くなりますので、良くなるんじゃないでしょうか。

ということで、簡単ではありますが学校向けSNSとして使われているいくつかのツールの違いを説明しました。

関連記事


【インタビュー】ICT導入前に「なぜ“学校”で学ぶのか」考えていますか?―永野直先生(袖ヶ浦高等学校) | Ednity Blog

この記事を書いた人:
  • 最近の投稿

  • カテゴリー

  • アーカイブ

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>