厚木市立相川小学校 中川洋太校長「書画カメラよりも”オールインワン”のiPadを」

石巻市の同名の学校(相川小学校)との共同プロジェクトについての論文が認められ、30万円の賞金を手にした。さて、その使い道は…?教員に提案をしてみてもらったところ、iPadなどのICT導入を進めることに。

今回は、このようにしてICTの導入がはじまった厚木市立相川小学校の中川洋太校長先生に、お話を伺ってまいりました。ICTの活用事例だけでなく、石巻市とのプロジェクトや相模川の保全活動についてのお話など、幅広くお話していただきました。ぜひご覧ください。

以下、中川洋太校長先生のお話です。

きっかけは論文による30万円の賞金。その使い道は?

本校でICT導入が本格的に始まるきっかけとなったのは、学校で書いた論文が優秀賞に選ばれ、30万円の賞金を頂いたことでした。その資金をどう使おうかと考えていたときに、ふと「教員に使い道を提案してもらったら面白いのではないか」と思ったのです。実際に教員に尋ねてみると、いろいろな提案がありましたが、その中で1人「iPadや体育館に常設できる大画面TVを導入してみてはどうか?」という提案をしてくれた先生がいたのです。

その先生曰く、「性能の良い書画カメラを買っても、たしかに授業はやりやすくなるでしょう。しかし、それは部分的です。iPadのような”オールインワン”のものを取り入れれば、撮影から編集、発表まで全てが、これだけでできてしまうのです。できることの幅が、格段に広がります!」と。私は、もともとかなりの機械音痴でして、ITのことなどはほとんど分からなかったのですが、「新しいものを創る」とはこういうことなのだろうと思い、その提案を採用することにしました。そして、「まずは自分自身で理解しなくては」と思い、すぐに自分用のiPadを購入しました。

石巻市との共同プロジェクト、相模川の保全活動

さきほど触れた論文についてですが、内容としては震災で被災された石巻の小学校との取り組みでした。震災後のある日、児童のうちの1人が私に、「石巻市に僕たちの学校と同名の学校(相川小学校)があり、壊滅的な被害を受けた。なんとか応援できないだろうか」と相談してきたのです。私は、彼のそのような思いに感動しました。それを機に、石巻にある相川小学校さんにご連絡をして、地域の方々も巻き込んだ取り組みが始まったわけです。

また、その他にも、昨年度から、相模川の保全活動への取り組みを始めています。もともとこの地区でそのような活動をされている方々がいらっしゃいまして、地域の方々との交流もできればと思い、はじめることになりました。そして、光栄なことに、その活動が国際的にも認められ、今年度からは「Green Flag Award(グリーンフラッグ認定)」をいただくこともできました。こちらは、世界のエコスクール共通の認証で、日本ではうちの学校で7校目だそうです。

厚木市立相川小学校相模川保全

石巻との取り組みと相模川の保全プロジェクト、双方に通じているのは、「創る」や「拓く」といった姿勢だと思っています。やはり、これからの時代、自分たちで創り拓いていくチカラが、さらに求められてくるでしょう。そのようなチカラを、子どもたちや地域の方々のニーズにそった形で、身につけていけるような環境づくりをしていけたらと思っております。

iPadで絵画鑑賞をさせてみると、面白い発見が

ICTの活用については、さまざまな授業事例がありますが、1つ特に面白かった事例を紹介しましょう。それは、絵画鑑賞でiPadを利用したときのことです。今までのやり方では、大きな紙に印刷した絵を黒板にはったり、プロジェクターを使って投影したりという方法でしたが、それをiPadで代替してみました。5,6人のグループに分け、1グループに1台、絵画が映っているiPadを渡してみたのです。

すると、面白いことが起きました。何が起きたかいうと、子どもたちは、ごく自然と絵画をズームしはじめたのです。このようなイメージです(下写真参照)

厚木市立相川小学校絵画鑑賞

そして、児童のうちの1人が、「これ、ぜんぶ点で描かれてるよ!」と言い始めました。そう、これは「点描画」と呼ばれる絵画だったのです。通常サイズのままでは気づきにくいのですが、拡大してみると、一目瞭然なのです。今まで通り大型スクリーンへの投影や大型の紙を利用していたら、おそらくあの児童の発言はなかったでしょう。

iPadを活用することで、こうして、流れの中で「点描画」という描画手法を学ぶことができました。きっとこの授業を受けた子どもたちは、点描画のことやこの絵画のことをずっと忘れないでしょう。自らの経験から得た知識は、そう簡単には消えませんからね。

ICTは「分度器」のような存在になっていくべき

さきほど、石巻の相川小学校との共同プロジェクトや、相模川の保全活動についてお話したように、私は「ICTがあればいい」と言っているわけではありません。しかし、上述のような授業やプロジェクトをしていると、「ここにiPadがあればもっと便利なのに」と思うことは多々あります。つまり、ICTによってプロジェクトや学びを加速していけたらと思っています。

ICTは、あくまでもツールです。ですから、児童が日常的に使っている道具、算数の授業でいえば「分度器」のようなものになっていくべきなのでしょう。そして、iPadなどのICTツールが子どもたちの手足のようになれば、授業やプロジェクトにおける学びの幅は格段に広がるはずです。公立の小学校ということで予算枠は決まっており、すぐに大量のICT機器を導入することは現実的ではありませんが、出来るところから出来る範囲で、進めていこうと思います。

[ 参考:厚木市立相川小学校 ]

この記事を書いた人:
  • 最近の投稿

  • カテゴリー

  • アーカイブ

  • おすすめの記事

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>