文部科学広報7月号「ICTを活用した教育の推進について」の要点まとめ

7月15日に発行された文部科学広報7月号では、「ICTを活用した教育の推進について」という特集が組まれており、文科省の「学びのイノベーション事業」の成果や情報モラル教育への取り組みについて、詳細に記載されています。

本記事では、その要点についてまとめてみました。

学びのイノベーション事業とは?

まず、簡単に「学びのイノベーション事業」について説明しましょう。学びのイノベーションとは、本冊子の言葉を借りると、

平成23年度から25年度まで、総務省と連携し、一人1台の情報端末、電子黒板、無線LAN等が整備された環境の元で、ICTを効果的に活用して、子供たちが主体的に学習する「新たな学び」を創造するための実証研究

となっています。

その背景としては、21世紀を生きる子どもたちに求められる力を育む教育の実現を目的とした「教育の情報化ビジョン」があります。当ビジョンの構想にある「2020年までにすべての学校で1人1台のタブレットを導入したIT授業を実現する」という文言は耳にしたこともあるかもしれません。

まとめると、「学びのイノベーション事業」は、21世紀に合わせた教育構想「教育の情報化ビジョン」の実現を目的として実施された、一人1台端末を活用をしようとする実験的試みと言えるでしょう。

ICTを活用した学習場面の類型化

ICTの活用場面として、「A 一斉学習」「B 個別学習」「C 協働学習」の3つに類型化し、それぞれの場面における活用例が紹介されていました。

ict-image

タブレットPCのチカラが特に発揮されるのは、「B 個別学習」や「C 協働学習」においてでしょう。実際に上の画像でも、それらの事例が多く紹介されています。個人的には、グループでの協働制作や学校の壁を越えた学習などに、ICTの可能性を感じました。これらのようなチームでの活動、あるいは世界とつながるような活動は、それこそ21世紀を生きていく上で求められてくるでしょう。

松阪市立三雲中学校の取り組み

総務省のフューチャースクール認定も受けている松阪市立三雲中学校の事例が紹介されていました。当校では、「協働学習」というキーワードから受けるイメージを基に、試行錯誤を繰り返しつつ授業づくりが進められてきたようです。

報告書の中では、松阪市教育委員会の楠堂晶久さんのお言葉が印象に残ったのでご紹介します。

「どう使おう?」「どう使える?」という思考が必然的に生まれ、そのまま授業づくりを再構成する「イノベーション」につながっていったことは、学校教育にICT機器を導入し、利活用することの効果の一つとして挙げられると思います。

ICTの導入が「考えるキッカケ」となったと言い換えられるかもしれません。このような再構成のプロセスをもたらすことは、1つ大きなポイントでしょう。

学びのイノベーション推進協議会委員東原義訓さんの言葉

また、学びのイノベーション推進協議会委員である東原義訓さんの言葉は、非常に示唆に富んでいました。

学びのイノベーション事業は、未来の学校の姿を具体的に示してくれました。ビジョンや構想ではなく、現実のものとして体感させてくれたことに最大の意義があったと思います。

20の実証校のもとで「実際に行ってみたこと」に大きな価値があったとのことです。

ICT活用はどのような場面で有効なのかをよく吟味し、指導力を向上させてから導入することが重要である一方で、可能な活用をどんどん進めていくと、結果的には有効な活用につながったというのが本事業で見られた傾向でした。

これは面白い視点だと思いました。東原さんがおっしゃるように、目的が不明確なままICT機器を導入しても意味がないという言説はよくありますし、その考え方は合理的だと思います。しかし、その一方で、まずは実際に使ってみることで、有効な方法が見出されるというケースがあるということも認識しておく必要があるでしょう。

全児童生徒数分のタブレットPCを導入する予算が直ちには獲得できない場合であっても、一人1台環境がもたらす可能性を体験できるように、どの学校も一クラス分のタブレットPCを整備することを期待しています。

上記の「まずは入れてみる」を全校として達成するのは金銭面を考慮すると非現実的かもしれません。それならば、まずは一クラス分だけでも導入できないかという主張です。たしかに、良い活用事例を作っていくという意味でも、まず一クラス分を整備してあげることは現時的な解だと感じました。

おもったこと

文部科学省も今回の教育改革に対しては本気なのだと、そう感じました。少なくとも、「教育の情報化ビジョン」や「学びのイノベーション事業」については、しっかりとした長期的計画のもと、地道な活動や成果報告が行わており、これからの学びや学校の環境を考えていく上で大きく寄与しているといえるでしょう。

そして、もう1点感じたのは、このように活用事例がまとめられていることの価値です。今現在、ICT機器の導入事例はまだまだ少数ですし、その成果や方法論は満足に公開されているとはいえません。文科省からの報告書もそうですが、本メディアとしても、このような活用事例は随時発信していき、ICTの導入・活用に少しでも貢献していければと思います。ぜひご期待ください。

[ 参考:文部科学広報2014年7月号]

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