「学べば学ぶほど賢くなる」と考える→生徒の学習効果アップ!初の大規模実証成功

「賢さは生まれつき変わらぬものではなく、努力により伸びるものなのだ」と生徒に伝えることにより、大きな学習効果の向上が望めるかもしれない。

スタンフォード大学の研究チームによると、「学べば学ぶほど賢くなる」という「成長思考」の考え方が生徒のポテンシャルを引き出すことに寄与することが分かったという。以下では、その研究について詳しく見ていこう。

新研究により成長思考の効果が学校現場でも検証

スタンフォード大学の研究チームによる最新の調査により、「成長思考」という社会心理学の考え方が学校現場でも有効であることが分かった。1度だけの、それも30分のオンラインでの資料だけでも、多くの生徒において学習効果の上昇が確認されたという。

今までも、成長思考による効果を実証しようと試みた研究はいくつもあった。そして、実際に学習効果の向上が観察されてもいた。しかし、「そのような効果は、母体が小さいから起きているのですよね」と疑問を呈されることが多く、十分な研究結果とは言えない状態であった。

その課題に対応すべく、今回の研究では、大規模で無作為な母体に対して簡単に実験を行うことができるようにと、準備が進められた。

1594人、全米13の高校に対して実施

具体的には、13の全米の高等学校から1594人をリストアップし、全ての生徒に30分のスライドショーを見てもらった。スライドショーの内容は、半分の集団には基本的な脳解剖学について、もう一方には成長思考に関するものを用意した。なお、生徒たちには、研究の存在については教えず、一般的な授業の一部として行った。

ちなみに、成長思考によるスライドショーでは、以下のような点が説明されている。

  • 筋肉が鍛えれば鍛えるほど強くなるように、人間の脳も学べば学ぶほど賢くなること
  • 脳の内部には脳細胞があり、何か新しいものを学ぶとその度に脳が成長するということ
  • ある課題に苦戦しているときも、脳細胞は新たなつながりを生み、賢くなっていっているということ

さて、これらを無意識的に理解した生徒たちはどのような結果を残すのか?

合格点をとる生徒が14%アップ、さらに長期的な効果も望める

学期末には、その変化が起き始めていた。特に、成績が低めであった生徒において、その変化は顕著であった。合格点をとることのできた生徒の割合は、全体で43%から49%へと、割合でいうと14%上昇していることが確認された。

14%というとそこまででもないと感じられるかもしれないが、長期的に見れば、この結果はさらに多くの生徒が合格点をとる前兆と見ることもできるだろう。研究チームによると「成長思考の考え方は生徒たちを今までとは違う『軌道』に乗せてくれたはずだ。しっかりと高校を卒業できるというね。」とのことだ。早い段階で、成長思考の考え方のもと勉強するクセをつければ、少しずつでも良い傾向があると考えているのだという。

「目的思考」にも同様の効果が?

また、別の考え方についても、同様の効果が望めるかもしれないことが実験により分かってきた。それは、「目的思考」である。「目的思考」についての実験も、「成長思考」の時と同じように30分のスライドショーを見せるようにして行われた。スライドショーの内容は、学校での勉強を何らかの意義深い目的(世界に良い影響を与えるという将来のゴールへの準備であるといったもの)と関連付けてあげるものであった。

結果を分析してみると、目的思考による学習効果の向上は、成長思考によるものとほぼ同じくらいであったという。生徒たちの学習へのモチベーションが同じくらい上昇したということだろう。

▼ 学習に関する考え方(Mindset)については、以下の論文に詳しく書かれている(英語)
Academic Mindsets as a Critical Component of Deeper Learning

さいごに

成長思考、目的思考、いずれもどうやって生徒のモチベーションや学習意欲を掻き立てるかという視点で捉えられるだろう。今回の研究では、成績(GPA)の低い生徒にとって特に効果が顕著であったという。これらの情報からすると、成績の低い生徒は、一般に、「勉強へのモチベーションが不足している傾向にある」と推測できる。

となれば、勉強のできるできないを左右する大きな変数として、モチベーションがあるといえるだろう。

これについて、マルコム・グラッドウェル氏は著書『天才!成功する人々の法則』の中で、以下のように述べている。

一万時間より短い時間で、真に世界的なレベルに達した例を見つけた調査はない。まるで脳がそれだけの時間を必要としているかのようだ。

「天才」とよばれるビートルズやビル・ゲイツといった人たちでも、「天才」と呼ばれるまでに、莫大な量の下積み期間があったのだ。そして、その下積みを可能にした大きな要素として、モチベーションがあったことは言うまでもない。もっと言えば、いくら成果が出ない時があっても努力を続けられるのは、その下積みが成長に確実につながるのだという考え方(成長思考)や、今の苦労は将来輝くために必要なステップなのだという考え方(目的思考)だったりするのではないだろうか。

少し話がそれてしまったが、成長思考といった社会心理学の考え方は学習に大きく関与している。今後、このような分野横断的なアプローチがさらに増えてくることで、よりよい学びにつながっていくことに期待したい。

[ 参考:New Research: Students Benefit from Learning That Intelligence Is Not Fixed ]

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